2008年06月10日

山桜

山桜幸せへのまわり道―
風雪に耐えて咲く山桜の下
  男はひたむきに正義を貫き、
 女は熱い思いを胸に秘めた。

藤沢周平の短編小説『山桜』を、『地下鉄(メトロ)に乗って』(2006年 ギャガ・コミュニケーションズ、松竹)の篠原哲雄監督が映画化。

江戸時代後期、海坂の春―。
温かな花曇りの中、叔母の墓参りを終えた野江(田中麗奈)は、ふと足の向いた野道で、枝いっぱいに花を付けた見事な山桜に出逢う。美しさに惹かれ、野江が思わず手を伸ばすも枝に届かずにいると、不意に背後から男の声が響く。「手折ってしんぜよう。」折った桜の一枝を、すっと差し出したのは長身の武士であった。武士の名は手塚弥一郎(東山紀之)。去水流という剣の使い手で、野江が縁談を申し込まれるも、会う事無く断ってしまった相手であった。「今は、お幸せでござろうな。」弥一郎の深く問うような視線に戸惑いを覚えながらも、野江は「・・・はい。」と一言答えた。「さようか。案じておったが、それは何より。」と、安堵の微笑みを浮かべると、弥一郎は遠ざかっていった。
野江の結婚生活は不運な物であった。最初の嫁入りは、二年目で夫に先立たれ、実家に戻された。そして再嫁した磯村家は、武士でありながら金貸しを営み、一家して蓄財に励むような家であった。野江に対しては出戻りの嫁と蔑み、冷たい壁を感じずにはいられずにいた。しかし、弥一郎との偶然の出逢いで得た、“私の事を気遣ってくれている人がいる。”との思いに励まされ、野江は磯村の家ともう一度やり直そうとの思いを抱くのであった。
それから半年程の月日がたったある日、城から帰宅した夫の言葉に、野江は顔から血がひく思いをする事となる。手塚弥一郎が、城中においての藩の重臣 諏訪平右衛門を斬ったのであった―。

藤沢周平の短編集『時雨みち』の中の『山桜』を、間延びさせる事無く忠実に、役者の演技風景魅せた映画。余分な説明めいた物など無く、藤沢文学の世界にじっくりと浸れた田中麗奈の時代劇挑戦はどうなん?と思いましたが、これがなかなかの物。辛い日々に耐え、として生きる野江を好演しています。己のを貫く、弥一郎を演じた、東山紀之立ち居振る舞いも美しく見事。それぞれの母親役をはじめ、脇を固めた役者陣も物語に奥行きを持たせています。そして、時間をかけて撮ったであろう四季の映像も美しく、見どころで在ると共に、物語の一翼を担っています。
冬の風雪に耐え、新たなるの訪れを告げる桜の花・・・実に重畳。(^^)b
山桜 幸せへのまわり道―
製作年: 2008年
製作国: 日本
配給: 東京テアトル
スタッフ: 監督: 篠原哲雄
原作: 藤沢周平
脚本: 飯田健三郎 / 長谷川康夫
撮影: 喜久村徳章
美術: 金田克美
主題歌: 一青窈
キャスト 田中麗奈
東山紀之
篠田三郎
檀ふみ
村井国夫
富司純子


posted by 神之峰 風斎 at 02:45| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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